本記事を書いている人
初級の最初のほうから何度も勉強する助詞ですが、定着するまでにはなかなか苦戦してしまう単元です。
僕は小論文を中心に指導していることもあって、助詞の指導にも力を入れています。(助詞だけでカリキュラムを組んでやっています)
今回は、いろいろなテキストを使ってみた中で一番使いやすく、学習者からの反応がよかった本を紹介していきます。
助詞の学習にはSTEP式にほんご練習帳
助詞の学習におすすめなのはズバリ、こちらの本。
『初級から超級まで STEP式日本語練習帳 助詞』
なぜ助詞が大事か
助詞を間違うだけで読みづらい
たとえば下の文章を読んでください。どちらが読みやすいでしょうか?
A:初級の語彙だけど助詞は完璧
わたしは日曜日に友だちと買い物に行きました。青いセーターと黒い靴下を買いました。それから、アイスクリームを食べて、うちへ帰りました。とても楽しかったです。
B:上級の語彙だけど助詞がぐちゃぐちゃ
私がその人は常に先生に呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけに本名が打ち明けない。これが世間を憚かる遠慮というより、その方私にとって自然からである。私はその人の記憶に呼び起こすごとに、すぐ「先生」にいいたくなる。筆に執っても心持で同じ事である。よそよそしい頭文字などにとても使う気がならない。
夏目漱石 『こころ』一部改変
Bの方が難しい語彙は使っているのですが、助詞が間違っていたり、欠落していたりするので読みづらいですよね。
こんな感じで、助詞が正しく使えないと、いくら難しい語彙や文法を覚えても読みづらい文章になってしまいます。
助詞には隠れた意味がある
助詞には隠れた意味があるので正しく使えないと、意味が正しく伝わらないことがあります。
たとえば、下記の2つは一文字の違いですが、意味は大きく変わりますよね。
「学校へは行かない」
「学校へ行かない」
「は」がつくだけで「学校ではなく、ほかのところには行くのか」なんていうニュアンスを伝えることができます。
ただし、「は」の意味が分かっていなければ使えないですし、聞いても正しく理解できません。
そのためにはこういった本を使って根気強く練習を重ねていくしかないのです。
おすすめのポイント
基礎から順番にSTEP式
タイトルの通りSTEP式になっているため、自分に合った力から勉強を始めることができます。
簡単に中身を説明すると下記のような内容になっています。
STEP1:助詞の使い方
- 助詞の意味・用法
- 「は」「が」の使い方
STEP2:どう違う?
- 「なのに」VS「だけど」
- 「間」VS「間に」
- 「で」VS「を」
- 「まで」VS「までに」
- 「しかない」VS「だけ」
- 「と」VS「に」
- 「~もする」VS「~はする」
- 「ない」VS「~はない」...etc
STEP3:間違えやすい表現
- (場所)で(もの)があります。
- (場所)に歩きます。
- 朝に起きます。
- ~しましたと、~しました。
- 2匹がいます。
- (場所)へ着きます
STEP4:助詞の重ね方
- には
- にも
- にこそ
- にすら
- にしか ...etc
問題が豊富
各STEPにたくさんの問題がついているので自習用としても使えます。
基本自習でわからないところだけ質問する、くらいのスタンスでこの本を使うのがおすすめですね。
同シリーズもおすすめ
STEP式シリーズには助詞を含めて全5冊あります。
どれも日本語学習者がつまずきがちの単元ですが、この本が克服の助けになってくれます。
先生の勉強にもおすすめ
STEP式にほんご練習帳シリーズは学習者用の本ですが、先生にとっても勉強になります。
学習者にとって分かりやすい説明で書いてあったり、間違えやすいポイントについても触れられているため、この本を使わない授業であっても、説明に利用することができます。
まとめ:助詞の授業に使ってみよう
最後に本記事の内容をまとめます。
今回ご紹介した本はこちら
助詞を学ぶ意義
- 助詞は間違うだけで意味が通じなくなる
- 助詞には隠れた意味がある
STEP式にほんご練習帳のポイント
- 基礎からビジネスレベルまで使える
- 問題が豊富
ぜひこれからの助詞の授業にお役立てください!