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今回は専任日本語教師の仕事について詳しくご紹介していきます。
ざっくり言うと、授業が半分と留学生に関わる諸業務が半分、と言ったイメージです。
これから日本語教師になろうと思っている人の中には専任を目指そうと思っている人もいるだろうということで、ちょっと詳しめにご紹介していきます。
これから日本語教師になろうと思っていらっしゃる方は参考にしてみてください。
日本語教師専任の仕事内容
日本語の授業
もちろんですが、日本語の授業もします。
学校によって異なりますが、一般的には1週間16〜20時間ほどが普通です。
ちなみにTwitterを通して何名かに聞いてみたところ、最も少ない人は9時間、多い人は24時間でした。
非常勤講師と違い、授業時間数はある程度確保されているため、閑散期だろうと授業がなくなることはありません。
進路指導
国内の日本語学校の多くは専門学校や大学への進学を希望する学生が在籍しているため、進路指導も行われています。
具体的には下記のような仕事を担当することになります。
- 進路の相談
- 志望理由書のチェック
- 願書のチェック
- 面接練習
進路相談
高校の時の進路相談を思い出すとイメージしやすいかもしれません。
専任は担任または進路担当として学生たちの進路の相談に乗ることになります。
学生それぞれのレベルと希望を把握し、適した学校を提案していくような仕事ですね。
中には全く調べようとしない学生もいるため、そのような学生には自分で調べるためのヒントを提示したりもします。
ただ、もちろんのことですが、全員が第一志望に入れないこともあるため、不合格したときにはどうするのかも考えておかないといけません。
日本人の大学入試と違い、大学ごとに試験日が異なっているため、複数の大学を受験することも可能です。
また、留学生の場合は「浪人」というものがありません。
なぜなら日本語教育機関のビザは最長2年間までしか出ないためです。
そのため、希望の進路に進めない場合、帰国を余儀なくされるか、とりあえずどこかの専門学校に入って、翌年受験するという学生もいます。
留学生にとっての進学は絶対に失敗できないものなので、教師側もそれだけ力を入れていかなければなりません。
志望理由書のチェック
専門学校にしても大学にしても、出願の際に志望理由書の提出が求められる場合があります。
その志望理由書をチェックしてあげることも専任の仕事としている学校が多いです。
書く前に「志望理由書とは何ぞや」についてや大まかな流れについては教えますが、中身については直さないようにします。捏造になってしまいますから。
読んだ人が理解できないレベルの文法的間違いや、求められている部分が欠けているものは書き直しをさせることもあります。
願書のチェック
願書をしっかりと書ける学生はいいのですが、中には白紙の状態で「書き方を教えてください」という学生もいますが、僕は自分で書く力をつけさせたいので、そう簡単には教えません。
教えちゃえば一番簡単なんですけどね。まずは自分の力で全て埋めさせてから間違っているところを指摘します。
面接練習
留学生の受験の場合は面接があるのがほとんどです。
入室の仕方や座り方、礼の仕方、話し方なども教えます。
最近ではオンライン面接も増えてきているのでその対策もします。
ただ面接原稿を覚えさせるだけをしている学校もありますが、突っ込まれた質問をされると急に話せなくなってしまうのでバレます。
話せなくなってしまわぬように、いろいろな視点からたくさんを質問をして面接に慣れさせていくような感じですね。
生活指導
高校などと同様に、日本語学校でも生活指導をすることになります。
たとえば、下記のようなことですね。
- 病院への付き添い
- アパートや寮のあれこれ
- 交通事故
病院の付き添い
ただの風邪から大手術までいろいろな理由で病院への付き添いをすることになります。
付き添いをすると必ず必要になるのが通訳ですね。
とはいえ、日本語教師で学習者の言語を話せる人は少ないので、医者の難しい日本語を「やさしい日本語」に翻訳して学生に伝えます。
専門用語などは携帯辞書を使うこともあります。全身麻酔をする手術などの場合には専任が家族代わりに書類にサインしたりなんかもします。
アパートや寮のあれこれ
日本の生活に慣れない留学生だと普通に生活をしていても周辺住民とのトラブルになってしまうこともあります。
たとえば、騒音やゴミの問題などです。教育が徹底されている学校ならそのようなトラブルは少ないかもしれませんが、全ての学校がそうだとは言えません。
そんな問題が発生した際に、留学生と一緒に謝罪しに行ったり、ゴミを片付けに行ったりなんていうことをすることも。
交通事故
一般的な高校や専門学校では交通事故で教員が出動することはほとんどありませんが、日本語学校の場合は家族代わりになっている面があるため、交通事故でも出動することになります。
また交通ルールに慣れない人が多いため、比較的事故を起こすことも多いんですよね。
事故現場に行って警察やお相手と話をしたり、場合によっては一緒に救急車に乗って病院まで向かう場合もあります。
あってはほしくない交通事故ですが、起こってしまうんですよね。
ビザの管理
専任は学生たちのビザに関する業務も担当する場合があります。
具体的には下記のようなことです。
- 留学準備
- ビザ更新
学生募集から入国までのあれこれ
この仕事については学校によって全く異なる場合がありますが、概ね2パターンに分かれます。
パターン1としては仲介会社に委託する場合です。
仲介に委託した場合、ほとんどの業務は仲介会社がやってくれるので、学校側はメールや書類のやりとり、お金の支払いなどをすることになります。
パターン2としては学校が直接学生募集をする場合です。
学校が直接募集する場合はそれ専門の職員がいる場合が多く、日本語教師が直接関わることは少ないです。
ビザ更新
ビザ更新は書類を整えて入管に代理申請するか、本人に持っていかせるということになります。
学校によっては専門の職員がいるため、日本語教師が担当しない場合もありますが、そうではない学校もたくさんあります。
最近ではビザ更新が厳しくなってしまい、アルバイト時間の超過で更新できなくなってしまうケースもあるため、やや仕事のウエートが大きくなってきているような気がします。
留学生のアルバイトは1週間28時間以内に定められています。
専任のメリット
給与は安定
専任講師は基本的に正規雇用となるため、非常勤講師と比べると給与は安定しています。
ただし、「日本語教師の年収っていくら?【現役教師76人に聞いてみた】」でも書きましたが、かなり低いのが現実です。
とはいえ、最低限生活できるだけの収入は得られるので、節約するか副業で増やしてくいくかすれば全然問題なしです。
最近では本業で日本語教師、副業でオンライン教師をやっている人も多いようなので僕も最近気になっています。
副業については「【日本語教師でも稼げる】おすすめの副業7選!スキルも生かせる」でもご紹介しているのでよかったら参考にしてみてください。
学生たちとより深い信頼関係が築ける
専任の一番のメリットは留学生とより深い信頼関係が築けるところなんじゃないかと僕は思っています。
非常勤講師だと、いつも学校にいるわけでないので、一人一人と接する時間はどうしても短くなってしまいます。
しかし、専任講師ならいつも学校にいるので、学生たちも困ったときには「〇〇先生のところのところに行こう」となるんですよね。
あまりに頼られても困りますが、深い信頼関係を築けるのは専任のメリットです。
専任のデメリット
人間関係に悩まされる場合あり
全ての学校ではありませんが、正規雇用として所属するとどうしても人間関係に悩まされる場合があります。
それで辞めていってしまう先生も少なからずいらっしゃいますね。
一方、非常勤の場合はそこまでその学校に所属しているという感覚がそこまで強くないので、気の合わない先生がいても比較的悩まされることが少ないです。
授業以外の仕事が多い
ここまで紹介してきた通り、授業以外の仕事が多いです。
そのため、日本語の授業がやりたくてこの業界に入ってきたかたはちょっと辛くなるかもしれません。
【専任 VS 非常勤】どちらが向いてる?
こんな人は専任に向いている
こんな方におすすめ
- 授業だけでなく留学生のサポート全般をやりたい
- 学生たちとより信頼関係を深めたい
日本語の授業だけでなく、いろいろやってみたい!という方ですね。
そんな方は専任をやってみると大変かもしれませんが、いろいろ学ぶところもあって充実した日本語教師生活が送れるようになります。
こんな人は非常勤に向いている
こんな方におすすめ
- 授業だけをやりたい
- プライベートを大事にしたい
逆に日本語の授業に専念したいという方は非常勤講師の方がおすすめです。
また拘束時間も短いのでプライベートとの両立や副業なんかもやりやすいですね。
まとめ:専任講師はいろいろな仕事があります
最後に専任日本語教師の仕事をまとめておきます。
- 日本語の授業(16〜20時間が多い)
- 進路指導(相談・志望理由書・願書・面接)
- ビザの管理(留学までのいろいろとビザ更新)
仕事の内容がわかったら、次は求人への応募です。
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